アーチコラム 磐田市でロードを走っていると終盤にかけて徐々に膝の外側の痛みが強くなるランナーの方へ
こんにちは!
磐田市千手堂にあるアシスト鍼灸整骨院の外山です。
私は、柔道整復師・鍼灸師の資格を有し、
お身体にお悩みのある患者様の治療や運動指導を行っております。
アシスト鍼灸整骨院では、治療だけでなく
アスリートの競技復帰に向けたリハビリ、
パフォーマンスアップのためのトレーニングにも
力を入れております!
ロードを走るランナーの皆様、トレーニングを行う中で、膝の外側に徐々に強くなる痛みを感じていませんか?
日常生活では気にならないからと痛みを我慢して走っている方も多いと思います。
しかし膝の痛みを放置していると、だんだん症状が悪化し、走れないほど強くなり、
トップランナーでも痛みを繰り返し引退を招く怖い怪我が、あなたの膝ですでに進行している可能性があります。
繰り返す膝の痛み、それは『腸脛靭帯炎』かもしれません。
今回は繰り返す膝の外側の痛みについて詳しく解説していきます!
目次
①膝の外側の痛みで考えられる疾患
膝の外側に痛みが出る疾患は腸脛靭帯炎の他にもいくつかあります。
症状の違いも含めてご紹介します!
1. 外側半月板(がいそくはんげつばん)損傷
・膝のクッションである「半月板」が、捻る・衝撃などで損傷する。
・スポーツの瞬発動作(切り返し、ジャンプ着地)で発生しやすい。
症状
・膝のお皿の下縁の真横あたり、大腿骨と脛骨の間のスキマ(関節裂隙)に圧痛を認める。
・外側の鋭い痛み、引っかかり感やロッキング(膝が動かない感じ)が出ることも。
2. 外側側副靭帯(がいそくそくふくじんたい)損傷
・膝の外側を安定させる靭帯が、外からの強い力で伸ばされたり、断裂して痛みが出る。
症状
・大腿骨外側上顆(大腿骨の膝の外側の出っ張り)と
腓骨頭(腓骨の上端)を結ぶ靭帯上(約人差し指一本分の細さ)に限局した圧痛が見られる。
・急な腫れ、膝のグラつき感、
特に膝から下を内に傾けるストレス(内反ストレス)で、痛みを感じやすい。
3. 腸脛靭帯炎(別名:ランナー膝)
・膝の曲げ伸ばしにより大腿骨の外側を走る大きな靭帯と
大腿骨外側上顆部が擦れて炎症が起こる。
・ ランニングの繰り返し動作、オーバーユース(使いすぎ)、不適切なフォームが原因。
症状
・ランニングや長時間歩行で膝の外側にズキズキした痛みを感じる。
・特に下り坂や長距離の後に悪化しやすい。
外側側副靭帯・半月板損傷と腸脛靭帯炎の大きな違いは、
前述の二つには痛みが出るきっかけ(ぶつかる、ひねるなどの発生機序)があることが多い急性外傷であり
腸脛靭帯炎は繰り返しの動作で徐々に痛みが出る慢性の運動障害です。
痛みが発生するメカニズムとともに、解剖もふまえて腸脛靭帯炎についてさらに詳しく解説していきます!
②腸脛靭帯とは
腸脛靭帯とは、大臀筋・大腿筋膜張筋の停止腱から形成され、
腸骨(骨盤)から脛骨(すねの骨)のガーディー結節まで
股関節・膝関節をまたぎ、大腿(ふともも)の外側を下降する太い帯状の腱組織です。
大きな役割として、腸脛靭帯は伸張性が低い組織であるため
股関節と膝関節の動きを制限し、
骨盤の安定化と姿勢の制御を行っています。
また、腸脛靭帯には、膝の曲がる角度によって、
30度屈曲位で大腿骨外側上顆を乗り越えて後ろへ
伸展位では大腿骨外側上顆より前へ移動するという特徴があります。
このため、靭帯に過度な張力がが加わると
硬い腱組織のため伸張することができず
大腿骨外側上顆との摩擦が生まれて、
炎症が起きてしまいます。
また、両者の間に介在する脂肪組織の硬化も
疼痛発生の一要因と考えられています。
つまり、腸脛靭帯自体が筋肉と違って伸び縮みをしない硬い組織なので
マッサージやストレッチだけでは症状が改善しづらく、
伸張ストレスを減らす事ができずに膝の痛みを繰り返しやすいのです。
次に、なぜロードを走るランナーの腸脛靭帯に
伸張ストレスが加わりやすいかを解説していきます!
③なぜロードを走るランナーに多いのか?
腸脛靭帯炎は路面環境やシューズの影響を受けやすい疾患です。
特にロードを走るランナーの膝には、気づかないうちに不均等なストレスが加わっています。
歩道・車道の横断勾配を知っていますか?
横断勾配とは国に定められた道路上の雨水の排水のための決まりです。
雨水が道路に溜まることなく、効率よく排水路に流れるように
全ての車道、歩道には普段気づかないほどの傾斜がついています。
車道では車線数で異なる1,5~2%の傾斜、歩道では2%を基準とした傾斜を設けることが
国土交通省の道路構造令第24条で定められています。
この小さな傾斜が身体にどのような影響を与えるのか解説していきます。
まず坂道で写真のように立ってみましょう。
まっすぐ立っているつもりでも、横断勾配によって
股関節・膝関節にかかるストレスに左右差が生まれています。
傾斜の高い方の骨盤が上がっていますよね。
右の骨盤が挙上すると、右の股関節は内転位、左の股関節は外転位になります。
股関節が内転位になると、外側にある腸脛靭帯には引き伸ばされる力が働きます。
つまり、横断勾配によってランニング中に片側の股関節が内転位になり、
腸脛靭帯に繰り返し伸張ストレスが加わることで靭帯に摩擦が加わり、
炎症を繰り返してしまうのです。
炎症を繰り返さないためには、この伸張ストレスを減らすことがポイントになります。
④痛みを改善させるためには?
まずは腸脛靭帯に炎症が起きているか、セルフチェックを行いましょう。
⚪︎グラスピングテスト
1.膝を軽く曲げて、膝の外側の関節面の少し上(大腿骨外側上顆)を指で押す。
2.指で押したまま、膝を伸ばしていく時の痛みを確認する。
⚪︎ランジ動作確認
1.痛い方の膝を前側にして一歩踏み出したとこから、ランジ(前方に膝を曲げる動作)を行う。
2.この時に膝が内側に入るかどうか、膝の外側に痛み・違和感がないかを確認する。
上記のテストで痛みや違和感が出た方は、腸脛靭帯炎の疑いがあります。
腸脛靭帯は股関節が内転位になることによって伸張ストレスが加わりましたよね。
ということは、股関節の外転筋を使って骨盤を水平に保つことができれば、靭帯にかかる伸張ストレスを減らすことができます。
腸脛靭帯にかかる伸張ストレスを減らすために、股関節外転筋である中臀筋のトレーニングをお伝えしていきます。
⚪︎シザース
⚪︎スクワットキープ
⑤まとめ
今回はロードを走るランナーの方へ、腸脛靭帯炎の特徴や発生するメカニズムについてご説明しました。
普段気づかない道路の傾斜によって、腸脛靭帯にストレスがかかっていることが分かりましたね。
しかし、同じ道を往復したり、平坦な競技場のトラックを走っているのに
膝の外側に痛みが出てるランナーの方もいるのではないでしょうか。
そんな方はぜひランニングシューズの底を確認してみてください。
片側だけ多く靴底がすり減ってはいませんか?
実は、足首の硬さや不安定なランニングフォームによって
靴底の減り方に左右差が生まれてしまうのです。
靴底が平坦でないと、いくら平坦な道を走っていても
傾斜がある道路を走っている時と同じストレスが膝にかかってしまいます。
当院ではそのような方にランニングフォームの見直しだけでなく、
シューズフィッティングやインソールでのアプローチもおこなっております。
インソールで他動的に足の接地をコントロールすることで、
膝の外側にかかる負担を減らすことができます。
繰り返す膝の外側の痛みでお悩みのランナー方は、ぜひ当院へご相談ください!
痛みの原因をしっかりと見極め、痛みを気にせず思い切り走れるように、最適な方法を一緒に見つけましょう!
アシスト鍼灸整骨院
静岡県磐田市千手堂888-1
TEL 0538-33-6021
柔道整復師・鍼灸師
外山千文