アーチコラム 袋井市にお住まいでアキレス腱が痛くなるあなたへ
こんにちは!
静岡県袋井市大門にあります、
アスリート鍼灸整骨院に勤めている吉野です。
今回は足の痛みの中でも『アキレス腱炎』について深堀していこうと思います。
アキレス腱やその周りが痛い…
でも動けないことはない、そんな方に読んでいただきたい内容となっています。
目次
①アキレス腱炎とは
アキレス腱炎は、ふくらはぎの筋肉(腓腹筋・ヒラメ筋)と踵骨(かかとの骨)をつなぐアキレス腱に起こる障害です。昔は「炎症」が主体と考えられていましたが、近年は研究により、単純な炎症よりも腱の変性(コラーゲン線維の乱れ、血管・神経の新生、修復不全)が中心であることがわかり、「アキレス腱症」という呼称が主流になっています。
〜アキレス腱症の特徴〜
- 好発部位:踵骨から約2〜6cm上の中央部(mid-portion)または踵骨付着部(insertion)
- 主な症状:アキレス腱の痛み・圧痛・腫れ・こわばり、特に朝一歩目や運動開始時に痛む
- 痛みのパターン:運動中に軽くなるが運動後や翌日に悪化することが多い
- 慢性化:長期間放置すると腱が肥厚し硬くなり、断裂リスクも増加
〜発症リスク〜
- ランニングやジャンプなど繰り返し動作(オーバーユース)
- 運動量の急増、休養不足
- 下腿三頭筋の柔軟性不足や筋力低下
- 足部の過剰回内やアーチの崩れ
- 加齢によるコラーゲン線維の変性
アキレス腱症は「完全な休養」で治ることは少なく、むしろ負荷を調整しつつ適切な運動療法を取り入れることで、腱の修復と再構築を促すことが重要です
②アキレス腱と周囲の解剖学
〜アキレス腱の構造〜
アキレス腱はヒト最大・最強の腱で、腓腹筋とヒラメ筋が合流して形成され、踵骨後面に付着します。長さ約15cm、厚さ約5〜6mmで、歩行・ランニング・ジャンプなど下肢運動に不可欠です。
腱は主にⅠ型コラーゲンで構成され、強い張力に耐えますが、血流が少ないため損傷すると治癒が遅い特徴があります。アキレス腱の血流は中央部が特に乏しく、ここに障害が起きやすい理由のひとつになります。
〜周囲組織〜
- パラテノン:腱を取り囲む滑走性の膜で、腱本体より血流が豊富。腱と周囲組織の摩擦を減らす役割がありますが、炎症を起こしやすい部位です。
- ケーラー脂肪体:腱の前方にある脂肪組織で、衝撃吸収や腱の滑走補助を担います。慢性障害ではここにも変化が起こることがあります。
〜血流と神経〜
アキレス腱は血流が少なく、治癒しにくいのが特徴です。一方、慢性腱症では腱内に新しい血管(血管新生)が侵入し、それとともに神経線維も入り込み痛みの一因になると考えられています。
このように、アキレス腱障害は腱そのものだけでなく、パラテノンや脂肪体、骨付着部など複数の組織が関与するものです。
③アキレス腱炎の治療とリハビリテーション
〜運動量・負荷の調整〜
まず、痛みを悪化させる動作や運動量を一時的に減らすことが基本です。完全な安静よりも「許容できる範囲で活動を継続」する方が腱機能を保ちやすいとされています。
〜エキセントリック運動(伸張性収縮トレーニング)〜
エキセントリック運動は、腱の再構築を促す最もエビデンスの高い方法です。
この運動により、腱のコラーゲン線維配列が整い、血管新生や神経侵入が減少し、痛み改善が期待されます。
〜ストレッチ・柔軟性改善〜
ふくらはぎ筋群の柔軟性不足はアキレス腱への負荷増加につながります。腓腹筋・ヒラメ筋それぞれを意識してストレッチすることが再発予防にも有効です。
〜足部アライメントの改善とインソール〜
インソールを入れる事により、足部のアライメント(足の骨配列)や荷重バランスを整えることで、アキレス腱への過剰な張力やねじれを軽減できます。
〜物理療法〜
超音波治療、低出力衝撃波(ESWT)、ハイボルテージ電気治療などは血流改善・疼痛軽減・組織再生を補助する手段です。
当院では超音波治療を行なっています。
④セルフケア
〜エキセントリック運動の実践〜
- 段差などを利用して、かかとをゆっくり下げる動作を痛みの許容範囲で行う
- 朝晩2回、各15回×3セットが目安
〜ふくらはぎのストレッチ〜
- 壁に手をついて前後に足を開き、後ろ脚のかかとを床につけたまま体重を前に移動
- 膝を伸ばすと腓腹筋、曲げるとヒラメ筋が伸びる
- 20〜30秒を数回繰り返す
〜アイシング・温熱の使い分け〜
- 急性の痛みや運動後の腫れがある場合は冷却
- 慢性のこわばりには温熱で血流改善
〜適切な靴・インソール〜
- 踵部がしっかりしたランニングシューズ
- クッション性やアーチサポートのある靴
- 古くなった靴は早めに交換
〜生活習慣の見直し〜
- 睡眠と栄養を整える
- 体重を適正に保つ
- 運動量を徐々に増やし、急な負荷増大を避ける
〜セルフマッサージやフォームローラー〜
- 腓腹筋・ヒラメ筋の緊張を緩める
- 血流改善・可動性向上に役立つ
これらのセルフケアを継続することで、腱組織の負担軽減・回復促進・再発防止につながります。
⑤まとめ
アキレス腱炎は運動が全く出来ない!というものではありません。
ですが我慢し続けることで慢性化し、回復まで長期の時間が必要となってしまいます。
早期に適切な対応を行うことで、症状の慢性化を防ぎ、より早いスポーツ復帰・日常生活への復帰が可能となります。
ちょっとした体のサインを見逃さず
その際は一度ご相談下さい。
アスリート鍼灸整骨院 袋井
吉野 航太